君を感じて生きる世界



「誠みたいに担任の先生じゃなくてよかったよ」

「言わないでくれ!不安要素の一つだから!」

「はいはい。で、番号聞いてどうする気?」

「見てきてやろうかと」

「バカ。それじゃぁ喜びが半減するじゃん」

軽く怒られてしまった。確かに自分で探すという作業がなくなると、喜び方も変わってしまうなと反省。

「今からあの中に突撃しに行こうよ」

「彩マジで言ってんのか!?」

「だって早く見たいし」

「わかったよ。俺が人避けするから、しっかり背中について来いよ」

「うん」

返事を聞くなり俺は生徒の壁の前にたつ。そして呼吸を整え、

「行くか」

と一声かけると、彩は僕のYシャツのたるんだ部分を握る。

僕はすいませんを連呼しながら掲示板へ向かう。彩は人混みの中にはいると、体を密着させてきた。させてきたというよりは、周りに押されてそうなったが正しいか。

背中になにやら柔らかい膨らみを感じる気がするが、気にする余裕がない。足に意識を送らないと押し返されそうになるからだ。

なんとか押し合いが緩やかになっているところにくると、掲示板がしっかり見える位置に来れた。

「よしここなら見えるだろ」

「じゃ誠位置かわって。誠前にいると見えない」

「お、わりぃ」

彩と位置を交代する。幸いおれの前の人は女子で身長もそこそこ高く無いから彩でも見えるであろう。しかし彩が前に来たことで俺は後ろから押されるたびに彩と密着してあまり集中して掲示板が見えない。彩をあまり押さないように足を踏ん張り、掲示板に目を移す。

まず目に入ったのは(209)ってことはもっと前か。

(189)もっと前。

(101)(106)(110)

「お」

彩は受かっていた。でもまだ彩は探しているからまだ黙っておこう。

(161)(162)(164)(170)そろそろあるはず

(174)(176)

とそこまで行った時だった。

「誠、誠、私あった!受かってた!」

と飛びついてきた。俺の手を取りその場で跳ねる。やはり緊張していたが受かっているのが判ると嬉しいのか。

「よかったな彩」

「これで誠も受かっていればいいのにね」

とこちらを見つめてきた。