君を感じて生きる世界



    ◇


さぁ目的地の駅に到着。

30分程度電車に揺られていたであろう。

駅から出ると、僕と彩は体を伸ばしストレッチをした。慣れない電車に座っていただけでなんか体が固まった気分だ。

「ん~~はぁー。電車ってなんか疲れるね」

右腕を真っ直ぐ上げ左手を右肘に当て、伸びをしていた彩は、安堵のため息にもにた息をはいて、両腕を下ろし、そんなことを言った。

「だよなー座ってるだけなのに。慣れれば大丈夫なのかもしれないけど」

彩は電車を降りてからなぜかご機嫌の様子。僕には彩の調子の波が未だよくわからない。

「あと15分も歩けば受かったかどうかがわかるのか」

やばい。また緊張してきた。気をつけないと右手と右足が、一緒に出てしまいそうなくらいに。

「早く行こうよ。緊張なんてしてないで」

彩はそういって歩き始めてしまう。右手右足が同時だった。

「ぷっ、あ、彩、手と足同じだぞ!お前だって緊張してるんだろ」

あまりにも自然かつ、堂々とやってしまっているので吹いてしまった。笑わないように善処したが、声はふるえてしまう。

「え、あ!う、うるさーい!私だって緊張するよ!」