君を感じて生きる世界



いつも笑っていたらいいのにと思う。

「そういわれるとうれしいぜ」

と感謝しておく。

『あーもうすぐ3番線に電車が到着しまーす。黄色い線の内側でお待ちください』

アナウンスが入る3番線は僕たちが乗る予定の電車だ。

僕たちはそれを聞き、黄色い線の内側で並んで待っていた。電車はドアは、ぴったり並んでいたところの前に止まる。

やっぱすげーよなー。電車の運転手って毎回ずれることなく止められるんだからさ。

感心しているとドアが左右に開き、電車の中へ。電車の中も空いていて、計10人程度が間隔ポツポツと座っている。

適当に、一番座っている人が少ない席に俺が座ると、いつもそうしていたみたいに、彩はすぐ右隣の席に腰をおろす。

席はいくらでも空いているんだからもっと広く使えばいいのに。と思ってしまうが、口には出さないでおこう。それが一番だと僕の本能が叫んでいるから。

電車は動き出した。もちろん始め、人間は慣性の法則だかで体が置いてかれそうになる。結果、バランスを崩した小柄な彩が僕に倒れ込んでくるようにしがみついてきた。

え、マジで!!?


自分で解説しておきながら、驚いた。しかし、ものすごいスピードで反応した彩は、すぐに体制を直し、何事もなかったかのように座り直す。

「油断した・・まさかこんなに慣性を受けるなんて。ごめん」

慣性という言葉がすぐ出てくるのは受験のせいだろう。入試には出なかったが。

ちなみに冷静を装っているが、頬が多少赤く染まっていて、ちょっと照れている。いつもはあまり照れないので、新鮮で可愛くみえてしまう。

「ん、気にすんなー電車に慣れてないからしかたないさ」

僕や彩は電車にあまり乗ったことがなかった。だいたいのモノが住んでいるところにあるからだ。

「うん」

それだけ言った彩は、ケータイを出し、イヤホンを両耳につけて、音楽を聞き始めてしまう。もちろん周りに迷惑にならないように音漏れはしていない。

むぅあいにく今日はケータイを忘れ、財布程度しか持ってきていないので音楽が聞けない。電車は暇だし。んー何か話すきっかけを作らなくては。

「彩なに聞いてる?」

と彩の右耳のイヤホンを奪い自分の右耳に装着する。

「あ!ちょ返して!」