君を感じて生きる世界



「急にどうしたの?お守りなんか握りしめて」

流れゆく景色をただ眺めていたはずの彩が聞いてくる。

急に握り始めたから不思議に思うよな。

「緊張をほぐすために神頼みしてた」

愛奈のことを話してもわからないだろうからごまかしておく。

少し緊張がほぐれたのは事実だったが。

「そのお守り縁結びだよね?彼女でもほしいの?」

と首を傾げる彩。

「んな訳あるか!何の神様でもよかったんだよ」

彩は、そう。とだけ言ってまた窓を通して景色を眺め始めてしまう。


    ◇


バスは僕たちの目的地こと駅につく。

駅は休日の朝早い時間なのであまり人はいないのでいつもよりもさらに広く感じさせられた。

切符を買い、改札口を抜けホームのベンチに座り5分後にくる電車を待つ。

「なぁ彩。もし受かっていたらどの部活に入るんだ?」

「ん~まだ決めてない。見てみないとわかんないし。誠は?」

本日初めて名前で呼ばれたよ。

「俺はやっぱり水泳部かなー野球土日つぶれるからやだし」

僕は中学では野球部に所属していた。

理由は水泳部がないく、次に好きなのが野球だったから。

でも野球を習っていたわけではないから下手な分類だった。

習っていたのはソフトボールくらい。

「ふぅ~ん誠ならいいとこまで行けるんじゃない?」

なんていって笑顔を見せる