君を感じて生きる世界

バスに乗り席に二人で並んで座ると、俺がよほど緊張しているように見えるのか、じーっと彩はこちらを見てくる。

「大丈夫だよ私が教えたんだから」

なんて言葉で慰めまでしてくれる

おかげでいつも安心できていることは確かなんだけど。

だから受験番号が「178」でも気にしない!

落ちたら先生のせいにすればいいし・・・。

「受かってる受かってないは気にしないで、友達の作り方でも考えておけば?ほとんど知り合いなんていないだろうし、君は人見知りだし」

「う、確かに」

そう僕は人見知り。

真面目に考えておいたほうがいいかも。

なんて考えているとある人を不意に思い出したんだ。


     ◇


3年前。

僕はスイミングスクールに通っていた。

そこに僕はあれこれ幼稚園の年少のころからやっておりとても長い付き合いだ。

そこでの友達とは、知り合っては、辞め、知り合っては、辞め、の繰り返しで、長くても2年間しか会えない。

そんな中、僕は仲の良かった同い年の女子がたんだ。

その女子と知り合ってから1年がたとうとしていた時だった。

「ねぇねぇ、まこっ君」

まこっ君とは僕のこと。

ってかまだ自己紹介まだだっけ。まぁ後回しで。

と彼女、古牧 愛奈(こまき まな)は、スイミングスクールの外で話しかけてきた。

バスに乗り込もうとした足を止め振り返る

「なに?愛奈」

「これあげる!」

とピンク色のお守りを渡された。

「これ縁結びって言って、これを持ってる二人は必ずいつかもう1度会えるんだって!」

そう、愛奈は今日が最後の水泳だった。

「へぇ~ありがとね」

「うん!じゃまたね!」

と手を振り、いつもと変わらない別れ方をした。


それは今でも古びた姿で僕のカバンに結んである。


そのお守りをくれた愛奈のことを思い出した。


     ◇


縁結びのお守り、それを手で握りしめた。