「なぁ、左手貸して。」

「え?何。」

「いいから。あ、目閉じろよ。」

「うん。」

 そう言って、あなたは、あたしの左手の薬指に、シルバーのシンプルな指輪をはめた。

「それ、安物だけどさ、あと数年後には結婚出来る歳になるしさ、働いて金ためて、もう一回買ってやる。とりあえず、今はこれで我慢してな。」