(side隼斗)

確かに時は進んでいる。

だけど、俺だけは。

まるで、時が止まったかのように―――。



満奈からの最悪な言葉。

別れ際のキス。

わけが分からなかった。

俺はただ1人、廊下で泣いていた。

そこでふと、ある事を思い出した。

“あたし、転校するんだ”

満奈、そう言っていた。

って事は―――!

俺は急いで、満奈の部屋に向かった。

―――バンッ!

勢いよくドアを開ける。

するとそこには、

―――何も、なかった・・・。

服も教科書も、CDもSuperStarのポスターも。

何もなかったんだ。

1歩足を踏み入れる。

アイツ・・・全部持って行ったんだ。

いつの間に・・・。

自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえた。

俺と満奈が愛しあったこの空間。

もう2度と、この部屋で一緒に笑う事は出来ないのだろうか。

1人だと、凄く狭く感じる。

部屋をぐるっと見渡した、その時。

―――キラッ

「・・・ん?」

布団も何もないベットで、何かが光った。

何だ・・・?

近寄って、見てみる。

すると、そこにあったのは、





―――俺が満奈の16歳の誕生日の時にあげた、虹のネックレス。