(side隼斗)

そう、あれは中1の時。

あれから全てが始まったんだ―――――。

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俺は小6の時にジョーカー事務所に入った。

もちろん、アイドルになりたかったから。

でも・・・こんな事になるとはまだ思いもしなかったんだ。

「ねぇ隼斗くん、私と付き合って?」
「ごめんね」

この時からすでに“王子様隼斗”のキャラを作り上げていた俺。

だからか、小学校でも中学校でも告白が絶えなかった。

ただ・・・気になった事があった。

“好き”

そう言ってくれる女が1人もいなかったんだ。

“付き合って”

ただそれだけ。

中学に入ってから、それを深く考えるようになった。

だから、告白された時には。

「何で俺の事が好きなんですか?」

と、得意な王子様スマイルで聞いてみた。

「だってイケメンだし、如月財閥の御曹司なんでしょ?おまけにジョーカー事務所所属だし。そしたら付き合うだけで私の株が上がるじゃん♪」

それを聞いた瞬間・・・俺の中で何かが壊れた。

誰も俺の中身なんか愛しちゃいないんだ。

・・・まぁ、ホントの中身は隠してるんだけど。

俺の顔、俺の肩書き、俺の仕事。

自分の事。

女なんてみんな、こんなところしか見てないんだ。

そして、1番可愛いのはやっぱり自分なのか。

呆れたと同時に、“もうどうでもいいや”という気持ちが俺の胸中を支配した。

その次の日。

俺の部屋に柚香が来たんだ。

「私達、付き合わない?」

何しに来たのかと思えば、いきなりそんな事を言い出した柚香。

・・・やっぱり、“好き”ではないんだ。

女は、みんな同じだ。

気がつけば俺は、柚香にキスしてた。

初めてのキスは、半ば自棄。

“女なんて・・・”

そう思いながら柚香を抱いた。

“女なんて所詮同じだ”

そう思いながら・・・。