(side隼斗)

だんだんと寒くなり始めたこの時期。

俺は、ある場所に来ている。

「Rainbowってさぁ、歌上手いし可愛いよね!」
「うんうん。やっぱ華歩様が一番だよね~」
「えっ、違うよ!満奈ちゃんだよっ!」

周りには、色とりどりのうちわを持った老若男女。

すぐ近くに置いてある看板には、

【Rainbow First Live Tour "We Are CuteGirls!"】

と書かれている。

そう、今日はRainbowのライブの日。

そして俺は、満奈からもらったチケットを持って見に来た。

もちろん変装してね。

ゆっくりと会場に入る。

俺の席はメインステージから向かって左側。

しかも、かなりよく見える位置。

「超近くない!?」
「ホントホント!マコがよく見えちゃう~♪」

真後ろの女2人組の会話を聞いて思った。

・・・満奈もよく見えるっ!

マジで可愛いんだろうなぁ~・・・。

なーんて妄想に一人浸かってた、その時。

「今日こそあの方達、引退発表しないのかしら?」
「ウザいよね、マジで。Rainbowが消えればSweetLoveが1位になれるのに」

耳を疑った。

・・・何故?

ここにいる奴らは全員、Rainbowのファンなんじゃねぇのか?

その声は、少し離れた所から聞こえた。

その方向を向いた。

・・・はっ!?

アイツは・・・。

見覚えのある顔だった。

でも、なかなか思い出せない。

・・・・・・あっ!

松本アリアだ。

その隣は・・・、確かSweetLoveのリーダー。

名前は・・・、加賀谷玲華、だっけか?

まぁ、いいや。

アイツらは何をするつもりなんだ・・・?

・・・・・・!

そこでようやく気付いた。

満奈は今、きっとコイツらに怯えているんだ。

ようやく悲しい顔の理由が分かった。

しばらくすると、照明が一気に暗くなった。