青の炎が拡散し動く屍は塵となって消えていく。





生き残ったものはただ立ち尽くしていた。
白い家で…。





拡散した炎は闇の境界線にまで飛んでいく。






闇の世界の結界が解かれた。
銀の天盾が消えた。





暗闇の中に銀の三日月。そして、真紅の星がひとつだけ…。





輝きを取り戻した銀の月が包み込むように抱く、真紅の星がひとつだけ…。





真紅の星は真紅のハート…。
銀の宝冠にある紅い炎。
闇の世界の宝冠。






白い教会に佇む一人の少年…。
宝石のような双眼に金髪。





いつの間にか辺りは明るくなっていた。
銀の宝冠が見えなくなり、現れた朝日に照らされた少年…。





見えない翼を背負い、輝く金の宝冠を載せる。






クルセイドが終結…。





後に少年は双眼の教皇となる。
教皇を護りし剣と盾。
白き犬とフクロウを従えて…。






運命の青き薔薇…。蕾は開花した。





巡り合わせの元に孤独な王の魔力…。
血の魔力…。






黒く光る十字架に。






統合された心と身体に飛び込んでいく。






孤独な王と孤独な少女…。





王に捧げられた一輪の薔薇が咲き乱れ、真紅の星が輝く。





血のニオイは闇の獣を誘う。
闇の獣は貪る華を…。






聖女の犠牲により一時平静を取り戻す。






聖女は願う。






それでもただ存在してほしいと…。
消えないで…。
そこにあるだけで奇跡なのだから…。






聖女は闇の獣に食べられる。





ただの華になるために。
花びらが散るまで…。
尽きるまで…。私は…。貴方のもの。






バンパイアが不敵に笑うと魂に呼びかけて来た。




お前は私のものだ。もう離さない。
共に行くか?






少女は花のように笑いながら、
世界を見せて…。






疾風が駆け抜ける。