青く光る炎が白い箱ごと燃やしていく。





紛い物はゆらりと立っていた。
白い姿の魂が現れる。
肩にかけて、青く光る薔薇の紋章が浮かび上がり、次々に華を咲かせていく。





銀の後輪が拡がる。
波が泥々した紛い物を包み込む。





「こんなことがいいはずがない世界は…。闇は…。消えるべきだ…。」






銀の天使が現れる。
「もう…。終わりにしましょう。エグル…。」






「ジョーカー…。私は…。終わりになど出来るはずがない…。」





「エグル…。」






真っ直ぐ前だけを見ていた。間違いを正すため。自分の信じるもののため…。





「エグル…。」
銀の天使が手を伸ばした。





「これは聖務だ!」





黒い棘が広がっていく。




黒から白へ混じり合う棘の先に青く光る少女。





銀の天使が前に飛び込んだ。
「?!」





銀の天使が紛い物をそのまま抱きしめる。
「マリー…。私の願いを叶えて。」





青く光る炎に包まれる少女が目を開ければ、光の波紋が広がっていく。





銀の後輪が開き、羽根が広がっていくように綺麗だった。





意識のない少女は手を胸元に組ながら…。天へとその手を掲げた。





それは…。聖女と呼ぶには美しく…。
黒い十字の輝きに青く光る炎に包まれる。





銀の天使と紛い物を包み込む…。





「やめろ…。」
紛い物はたじろいた。
その意味を知っていた。





「エグル…。気高い鷲よ。もう孤独に生きていかなくていいのです…。」





守りたい。ただそれだけだったはず。神に身を尽くしてきた。
私自身の為に…。
心を隠し…。





闇は…敵だと教えられ。滅してきた。
それが正しいと…。
愛するものが遠くで召され…。
それでも前だけを見ていた。





銀の天使は暖かかった。





「もう…。休んでもいいのだろうか?」






羽ばたきを止めてしまっていいのか…。






「休んでもいいのですよ…。エグル…。」






あぁ…。きっと…。私は、君に会いたかったのだ。戻らないとわかって…。







「ブルーローズ…。」