ノア…。ノア…。ノア…。





何で…。答えてくれないの?





ノアに口づける人の形をしたもの。
ノアを包もうと体が膨張した!





何も考えていなかった。ただ守りたかった…。傍にいたかった。





愛しいバンパイアの前に飛び込んだ。
飲み込まれる瞬間。
抱き締め、口づけた。





銀の後輪が開く。





私に出来ること…。
唇を噛みきり血をノアに…。





引き離された魂が飲み込まれていく…。





「ノア…。愛してる。」





高貴な薔薇は…。獣をその血のニオイで目覚めを与える。
何ものも拒絶していた瞳はゆっくり開く。





契約の名の元に…。






銀の光が小さく十字に…。
胸元の金と銀の小さな十字架に…。
それは黒い輝きへと変わる。





黒い波はマリーを包んでいく。





バンパイアの見開いた瞳が見えた。





「ノア!燃やして!」





白い箱に吸い込まれていく…。





伸ばした手は届かない。




蒼い炎に包まれる。





契約の証しは所有者を守る…。
小さな光、黒い十字架に青く光る炎。





バンパイアは言った。
「それは私のものだ…。」





漆黒と深紅の瞳を持って産まれたバンパイア。
彼の名は真の闇。





真の闇は汚れなきソリッドな闇。
歪んだ闇は歪んだものに過ぎない。
産まれながらの真の闇。
それは深い深い綺麗な闇の獣。





王の証し。






青く光る炎に包まれる。




バンパイアは白い箱から薔薇を取り出した。





「これは私のものだ…。お前になど渡しはしない。」





死ぬ前に夢を見るという言い伝えがある。





私は…。夢を見ているのかしら?
夢との狭間…。





例えこれが夢でも…。
愛しいバンパイアについていく。
そして…。きっと守る…。





「ノア…。愛してる。」
唇を噛みきると再び口づけた。





血を舐めたバンパイア。
「ローズマリー…。お前は私のものだ。」





独りにさせてすまない…。





そんなふうに聞こえた。





例えこれが夢でも…。
私は…。私の決めた道を行く。
ただそれだけ…。