ブラッククロス

ドクンっ!ドクン!!






体の奥底に眠る炎が踊り出す。
早く…。早く…。





全てを喰らわせろ!!





全てを業火で焼き尽くすまで!





煮えたぎる炎は止まることを知らず。





その血の魔力と存在が破滅の悪魔に愛されし証。
闇の獣よ…。





悪魔に愛されし証。





沸き上がる炎に包まれる。
一体が無に帰る。





理性を無くした獣はその本能のみに支配され、命を喰う。





愛するがゆえに…。





憎しみが増した。






目覚めは目覚めを呼び起こす。





灰は灰に…。






無に慣れなかった果ては…。





ボコボコ、ボコボコ…。





黄泉の国から動く遺体達…。





炎と煙が辺りを包む。






彼の者は闇に生きる存在。





闇の獣…。






バンパイアの力…。





呪われし亡者の力…。





二つの血の力を持ち合わせた闇の存在。





赤々と燃えたぎる深紅の瞳。





紅い星が…。月を紅く染めていく。





真っ赤な、真っ赤な丸い月が現れた。





闇の獣はニヤリッと笑うと一直線に目指す。





炎に包まれる。






緑の炎に包まれ、恐ろしい骸骨の姿に変貌する。




骸骨の骨の腕に…。




灯るは業火の炎。





全てを無に返す為に、全てを喰らう為に…。
果ては憎しみの深さに…。





火柱が上がる。






生き物はいない。






闇の獣は…。






愛の深さ故に…。





憎しみが深過ぎた…。
己を見失う程に…。






美しくも恐ろしい骸骨の王はタクトを振るように…。
炎を操り、魔法使いのように…。
全てを消していく…。






ひとつの青い薔薇を求めて…。





彼の名は真の闇…。
闇に生きる獣王。
孤独に生きてきた…。






全てを消していく…。






「ローズ…。ローズ…。ローズ…。」






さ迷う呪われし存在は。突き進む。






たったひとつだけの華を求めて…。






あぁ…。すれ違いが…。





薔薇と獣の歯車がずれていく…。





目を背けても…。無垢な魂に鏡の破片は容赦なく見せつける。