ブラッククロス

銀の後輪は拡散された…。
聖なる光、聖なる器、聖なる守り…。

それが何を意味するか。




中央の守りが解かれた。




繋がりが解かれた。ジョーカー…。





皮肉にも…。






ザッザッザッザ!





「クルセイドを発動する!」





人は弱い。失いたくないものがあるなら尚更…。
しがみつき…。





恐れの為に…。
何かを奪う。奪われる前にと…。






聖戦の名の元に十字軍は発動。





闇の境界線を探り当てる。





ぴくっ!






「ローズ?」






いけない!






私は…。ここにいてはいけなかった!





「やっぱり、ダメみたい…。あそこしか私の居場所はなかった…。」





ローズは口づけを落とし…。ノアを…。






驚愕の顔で倒れ込むバンパイア…。





「ローズ…。何を…。」





悲しげに瞳が見えた。






「ごめんなさい…。ノア…。」






消えていく。






「ローズ…。待て!…。」





闇の境界線に…。






来る!
セブンハウンド…。





「エグル…。」






あの男が来る。何者も恐れず、前だけを見ているセブンハウンドのリーダー。





何百という選りすぐりの精鋭部隊…。






あぁ…。主よ。どうか私の願い聞き届けたまえ…。きっと…。きっと…。





悲しげな瞳が青く凛と光を灯す。





聖戦という名の争いを…。





私には選べない。





だから守る…。






これが私の願い。
これが私の決めたこと。





化け物なんて…。






いないのです。






主よ。ここにあるべき意味を示したまえ…。






青く光る瞳…。






結界を作り上げる。
銀の後輪が拡がる。
銀の光を放ち、纏いながら…。





境界線へと真っ直ぐに向かう。






止めなければ…。






ざわめく敏感な生き物達…。
精霊達…。






そして、






「ローズ!」






結界を壊していく闇の獣…。