ブラッククロス

闇に浮かぶ銀の三日月…。





その中に輝く赤い星がひとつだけ…。






闇の世界は…。






悪いものだけじゃない…。秩序もあり、美しい…。





外では異形とされるけれど…。ここでは普通…。
逆にここでは人が異形…。





契約したもののみがいることの許される世界…。





私は…。私は…。私は…。





ここでは…。
本来なら、居てはならないもの。
闇の敵…。





でも決めたから…。






闇と光はどちらもなくてはならない。





そして、闇は…。美しいことを知った。





どちらも悪くないのだから。





魔女と呼ばれ、力を使うことに使命を与えられ…。
神に尽くし、今ここにいる…。
ここにいる意味を知るため…。
きっと…。私は…ここに来た。





あの小さな世界から…。





守るのが私の与えられし使命なら。
主よ。貴方はきっと…。





だから。






守りたいのです。
大切なものを…。






私と同じ瞳をした人を…。
あの美しい瞳を…。愛してくれた愛しい獣を…。





そして、この世界は…。





美しい…。






闇に浮かぶ銀の月を見上げながら、凛とした青い瞳は赤い星を見ていた。




こんなに強い心…。





この強い想い、胸が張り裂けそう…。
私には…。






すぐ側で立ちすくむ無垢な魂。






ガシャン!






ガシャン!






炎に包まれる。






どうして…。






どうして…。






こんなことに…。






闇と光はぶつかり合う。
歯車は廻る。






真実を知るは全てを見ていた鏡のみ。
鏡の破片…。記憶の断片…。





聖戦、それは血に刻まれる歴史の刻印…。






いつも争いの渦は…。






止まることを知らない。





その流れを止めるためには…。
新たな血が必要とされる。





そして、流れを止めるためにはそれに見合った力を必要とされる。






故に…。贄は消えていく。