ブラッククロス

「彼奴のお陰でね…。」





顔を近づく。






「だから。いつも欲しいものが手に入らない…。」





「あなたはよくやってるわ…。」






氷の蝶が燃え上がり消えていく。





「ローズ!!」





「ノアっ…。」





にらみあっては去っていく。





炎が走り回って…。時が動き出す。
噴水が流れ出す。
花と蝶がパシャンと音を立てて消えていく。






ローズはノアの力を押さえることが出来る…。






利用すればいい…。たかが虫けら…。
それが…。惹かれて行った。封じる力…。自分と似ている。
彼女前では素直になれた…。





手に入れたくても届かない綺麗な花…。
青い瞳が綺麗だ。中に星でもあるかのように…。




だがすでに契約済み…。




そう。たかが虫けらだ…。
そう言い聞かせる。






「ネージュ?」
心配そうに覗く青く光る瞳…。





「大丈夫だ…。城に戻る。」





この香しい血のニオイに耐えられそうもない。






ネージュが消えていく。





一人噴水に足を浸す…。
暑い…。
白い肌が見えた。






後ろの気配に言った。
「ダメじゃない…。せっかく綺麗だったのに。ノア…。意地っ張り。」






「…。」






無言の彼を振り返る。
首元に口づけが落ちてくる。





全身が濡れることも忘れて、激しく求め合う。






「んっ…あっ…。」






バシャッ…。






頭を抱え込み放さない黒い瞳…。その奥に赤い赤い炎。