「けっ!なんかないのかよ!」





「おい。早くしろ!」




しゃら…。





ロザリオを握りしめる人がいた…。





手足は縛られていて動かない。
あぁ主よ…。迷える子羊を救いたまえ…。





身ぐるみ剥がされた魔女を見下ろし。
「悪いな。金が欲しいんだ…。」





三人組の男の一人が言う。



去りかけた一人が叫ぶ。
「こんなんじゃ足りねぇ!」
目付きが変わりこちらを向いた…。




何が次に起きるかはわかった。




「おい!止めとけ!」





「うっせー!」





暗闇に紛れ人は悪魔のようだった。





暗闇が急に燃え上がる。
「ぎゃああああ!」





火柱があがり、残りは喉を掻き切られた。





「なんてことを…。」





赤い血を拭うバンパイア…。





「所詮我々とお前達とは交わることのない生き物だ…。」





「それは…。」





人は弱い。闇はある…。




「血で血を洗うだけだろう?違うか虫けらよ。」




青い瞳は揺れる。
しかし、輝きを増して言う。





「止めて見せる…。」





真っ直ぐな瞳はバンパイアに向けられた。





「虫けら。名は?」





「ローズ。」





恐れを知らないのか真っ直ぐ見つめてくる。





「貴方の名は?」





バンパイアに名前を聞くやつなど聞いたことがない。
そこに立っているだけでも珍しいというのに。





面白い…。






「ノア…。」





ノア…。
漆黒の中に紅い瞳を持つバンパイア。




「どうやって止めるのだ?」
クスクスとバかにしたように笑っている…。






青い瞳が言った。






「貴方と契約を交わす。」





契約…。
「意味がわかって言っているのか?」





「貴方は力あるバンパイア。だからこそ貴方と契約を…。」






所有物「餌」に自らなるなど聞いたことがない。





「私がお前を殺すとしたら…。」






「貴方には出来ない。」





「!」






全てを滅してきた俺を真っ直ぐ見つめる人間…。





結界を解いた聖女が両手を下ろして近づく。






気まぐれに…。
闇の獣は聖女の香りに魅了され…。





契約を交わす。