ひとつ銀の塊が舞い降りた。





「待ち兼ねた…。」





フクロウが光を纏いながら鷲に膝まづく。





「手筈通りに…。」





フクロウの背中が輝き、まるで翼を広げるように包まれたそれを鷲に見せた。





見えない聖なる鎖に包まれた…。





「異端者、シスター…ローズマリー…。」






眠る彼女に手を当てる。
紋章が浮かび上がる。






「ジョーカー…。」






その手を拒絶するかのように淡く炎に包まれる。





構わず手を伸ばす。
「我が家に帰ろう…。」





フクロウは翼をしまい。彼女は見えなくなった。
白いフードは全てを隠す。





遠くに獣の咆哮がしていた。





白十字が集結する。
結界にユニコーンと犬が亀裂を走らせる。





薄い幕がピシッと音を立てる。
修復を繰り返す結界が揺らいだ。





「そこまでにしてもらおうかな…。」





ユニコーンの頬に血が流れていた。





「新手ですか…。」





銀の弾丸が二発すり抜けバンパイアの前で制止し落ちる。





風の防壁が切れ、二人のバンパイアが立っていた…。





「王命により排除する。」





氷の双剣を構える。





ため息をつきながら
「休んでればいいのに。言ったら聞かないんだぁな…。仕事に忠実すぎじゃない?そんなグラスも好きだけどさ。」





「黙って。我が主の為に…。報酬が欲しければ働いてもらいます。」





「はいはい。まったく相変わらず冷たいな…。」




「これでフェアだ。」




「何嬉しそうに言ってんだ!筋肉ばかが!!」




「何をこの子犬が!」




「あぁ?!言ったな!」





緊張感の無さに頭を抱えるユニコーン。






風が渦巻いて空気が変わる。




「リオン!シアン!…。来ますよ…。」




「承知!」
「わかってる!」






「懐かしいな…。あの頃のようだ。」
憂いを帯びる碧眼のバンパイア。




「あの頃ね…。俺は変わった。貴方は変わりないようだな。」





くつくつ笑う。





「そうか?風は変わったか?」
まるで変わらないと言っている。





「貴方はそうやっていつでも私を見ている。」





「風は常に流れるものだからな。御武運を…。ジルウェット·ラファール。」