気配に気づいたか?…。





息を潜めながら人影がひとつ消えたのを確認する。





ターゲットを狙う白い影。
それを静止させる白い腕。





だが相手はそんなに甘くなかった。





空気が氷つくのを感じた。
図上から鋭い氷の雨が降ってくる。





白いローブが切り裂かれる。
隠れた草地から転がり出た。





「見つかってしまいましたね…。」





「人間がこのような場所にいるなんて…。」





顔は笑っていたが氷の双剣が攻撃体制をとっている。





「バンパイアか?…。神の御名において滅する。」





バサリと白いフードを剥ぎ取る。
白十字のエンブレム…。堀の深い、顔の濃い…。




「聖剣の力を特と見せてやろうぞ!血を見ることこれ必須なり!」





もう一つの白いローブが壮大にため息をつく。
「それが正義の味方のセリフですか?」





「ハッハッハ!それもそうだな。」





筋肉質でいかにも体育会系のタータンチェックの衣を纏う騎士は豪快に笑った。





手には幅の広い聖剣…。




まるで猛獣…。





霧を濃くし姿を隠す。





「教会の方々、主を守るが我が使命。よって消えて頂きます。」





氷の双剣が騎士の首を狙う。





キン!と冴えた音が響く。





「リオン動きなさいな…。悪いですね。私も剣士ですの。」





長剣を突き出し首を守られた。





「すまない。リコ。」





「リコルヌです…。」





「ハッハッハ!行くぞ相棒!」





聖なるライオンとユニコーンが攻めてくる。





パワー勝負の騎士にスピードの女剣士がカバーする。
絶妙なコンビネーション…。





双剣が防戦一方となる。





「さすがは教会の番犬…。ですが…。ここは私のテリトリーであることをお忘れのようですね…。」




緑の光を放つ沼地。
湿気の多いこの一帯…。





「二対一では部が悪いですね。ではこちらも…。」





霧が現れた。





沼から現れたのは氷の造形…。





「二人?!」





瓜二つの執事がそこにいた。





「これでフェアだな。」




どこまでも体育会系な武骨な騎士はますますやる気満々と聖剣を構え直す。




「参ります…。」





冴えた音が響き渡る。