「こちらへ。」






キッチンらしいところは…。綺麗過ぎて。シャンデリアから何から何までキラキラしていた。





「絶対ジルさんの趣味だよね…。」





「旦那様はそれは綺麗なものが好きですから。あっ…。」





窓の外に灯りがポツリポツリとオレンジの綺麗な列が見えた。





「あれは何?」





「今日は美味しいお酒が飲めますよ。」





「お酒?」





「南瓜町特製の酒でバンパイアも陽気になるくらい美味しいんですよ。」




「バンパイアは酔わないの?」





「旦那様も他の方も聞いたことはないですね。他にも果物とか特殊なものが南瓜町には多いから…。」





だからバンパイアはよく来るのかな?





好奇心から店を出て、通りに出てみた。






オレンジの光はお酒らしい。蜂蜜みたいな。カゴが揺れている。





それを見ていたレイが何かと交換した。





鳥の手をした売り子はそのお酒を私に手渡し開けてくれ、押し付けた。





「飲めばいいの?」





こくり…。





飲んでみたらそれは美味しくて心地よくて浮いてるみたいな感覚になった。





光の列はだんだんと遠くなり何処かへ消えていく。





最後の列にぶつかる。





「ごめんなさい!」





グイ!と手首を捕まれ立ち上がる。






「!」





全身包帯の人が立っていた。





気づいたレイが叫ぶ。





「マリー様!!」





血が下がるのがわかった。





片目がギョロリと動いていた…。
クンクンと匂いを嗅いでいる。





包帯がマリーの体にも巻き付いてきた。






「いや!」






*******





「!」





ジルウェットが風と共に消えた。





グラスも気配を感じ霧となる。






通りに出てると果実の甘い香りが漂っている。





「坊主!」





床に倒れているレイ。
「旦那様早く…。マリー…。」





指さす先に包帯が…。





風と氷の刃が包帯に刺さる。
ギろと片目がにらんだが、包帯がほどけると姿を消した。





「マリー!」
執事の悲痛な声が通りに響いていた…。