翡翠の瞳がキラキラと輝いていた。





名残惜しそうに離すと
「ご馳走様…。坊主ケーキ焼いて!今すぐだ…。」





衣服正すとレイは走って行った。





冷ややかに見ていたグラスが…。





「こんなところでやるなんて。」





「腹が減ったの…。マリーの性で!」





「やっぱり私…。何かしてしまったの?」






「違います。」





「?」





「所有物は名前を持ちません。故に名前は主人に与えられ、真実の名は主以外は知らないのです。」





名前はマリーにとっても大切なもの。





「ごめんなさい。私…。」





「自分から名を明かしました。マリーの性では有りません…。ジルウェットがただ嫉妬したんでしょうから。」






「グラスは手厳しいなぁー。もう~。そう坊主は俺のもの。」






翡翠の瞳が見えた。





「マリーも知ってしまったしな。特別許す。ノアに殺されるのも嫌だしな。」





レイが戻って来た。





風が渦巻いてすぐ横に並んでジルウェットが耳をなめていた。





ささやく風見鶏は綺麗な少年に…。





「レイ…。名前の意味は知ってるか?」





さらに甘噛みし
「…だ。綺麗だろ?俺は綺麗なものが好きなの!わかったか?だから簡単に名を明かすなよ。俺の許可なしにな…。」






「はい…。旦那様。」





「お前の主人は誰だ?」




快楽に微睡んでいく。





「ジルウェット·ラファール様…。」





ニヤリッと笑う。翡翠の瞳が見えた。





行くところなんてないんだ。旦那様のところ以外…。





ケーキは風に乗ってテーブルに。





マリーはただ座っていた。
知らないことばかり…。今ノアはいない。





「マリー?」






「大丈夫。ただ驚いただけ。」





寂しい…。なんて言ったらまた笑われるだろうな…。なんて自分は弱いんだろう。





無意識に胸元に隠してある十字架を握る。





「苦しいのですか?」
グラスが席を立とうとする。





「大丈夫!このケーキ美味しいね!ごほっ!みっ水…。」





慌ててお茶を流し込んでこぼしてしまった。





「ごめんなさい!」





レイが慌てて拭いていた。