姿を隠しても、どんなに離れていても…。この身はお前を忘れはしない。





その香りから逃れることなどできはしない。





狭間の存在は物凄い勢いで走り抜けていた。





瞳は爛々と燃え上がる。




向かう先はかつての城。




その異形の血の濃さに耐えられず吐き捨てられた。開放する魔力。





乾いた笑い声に風が通り過ぎ、弱い者は消えていく。





黒い契約がある限り、魔物と聖女は繋がっている。





「俺のものに手を出したこと後悔するがいい…。」





怒りは吹き出、炎の風を身に纏う。





闇の世界は炎に包まれる。





破壊という名の凶器が迫る。





止める術を知るものはただ一人の聖女のみ。





崩壊に近づくのは闇の世界か…。迫る白い十字も同じく潜む。





城の一室から炎が上がる。





パリン!と窓ガラスが割れていく。





豪奢な扉は吹き飛び燃え上がる。





炎と氷の竜が部屋に召喚される。真下に横たわる棺はびくともしない。





何事もないように青い華は眠っているように横たわる。





「ネージュ!」





「果てろ!ノア!」






竜が攻め魔力が爆発する。





*******






やつはいつも秀でていた。
変わり者の王家の血。






私が正当な王家の血。
結界と封印においては私が上を抜いていた。





闇の世界、境界線を守るのが王家の血において最大の役目。





やつには出来なかった。




しかしながら力に置いてはやつが秀でていた。





使い方を知らない化物が…。





力は絶対的なもの。





故にノアが王に即位した。





だが馬鹿なやつは外で封印されたと聴いた。
白い十字架によって。





やつには背負っていけなかったのだ役目を果たすことをしなかった。





それが許せなかったのだ。
外に行く前にやつは青い薔薇を摘んできた。
とても綺麗な華。





手に入れたくてしかたなかった。





何故やつなんだ!






やっとやっと手に入れた。放しはしないと約束する。




かつてやつは壊して枯らしたのだ。綺麗な華を…。





放しはしないと約束する。





ローズ!