元王族…。





王家の血が混じるが認められなかった者。





数百というバンパイアを倒した裏切りの風見鶏。




王家の力に匹敵する力を持ちながら王家に仇なした者。





翡翠の瞳の暗殺者…。






ジルウエット·ラファール。




暗殺部隊…。あの頃は知らなかった。
主人に弓引く者だと。何を考えているかわからない。





細い瞳がニコニコしながら進んで行く。内部は熟知しているはず。





「そんなに見つめて…。俺に惚れてる?」





「あり得ません…。」





クルクル回る風見鶏は笑う。





お互い腹の探り合い。





綺麗なものを手に入れる為なら何でもする。
報酬に何を欲しがるか…。





「氷双のグラス…。」





「懐かしい名を出して何でしょうか?」





「貴女は私に勝てないよ。」





「!」





何を考えている?!






真顔がクルクル直る。





「冗談だよ。」






「王に何かしたら容赦しない。」





「はいはい。俺は坊主にしか興味ないから。報酬によってやるかやらないか決める。」






クルクル回りながら、





「出ないとこんなところに来ないからな…。」






風が渦巻いてグラスの体を一瞬通り過ぎる。






「!」





何かが弾け飛んでいく。




「何か侵入してたなぁ~。ヤバイでしょ?王も衰えたもんだね。」





まさか…。私が気づかないなんて。





ネージュ様!





「早く帰ってと思ったけどめんどくさいのかな?だけど久しぶりに楽しめそうだな。」





クルクル回る余裕のバンパイア。





結界が揺れている。





王の元に急ぐ。






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