闇の境界線の外に集まる白いフードの聖なる番犬が悪態をついていた。





「まったく失態だな。」




「貴方に言われたくありませんわ…。」




「静かにしろ!敵の所領だぞ!」





「「はーい。」」





白い梟と犬がにらみ合いをしている。





「お前らパートナーのくせに五月蝿いぞ…。」





「仲がいいね。」





「「良くない!」」





クスクスクスクス…。白十字に赤い薔薇のエンブレムが肩で揺れている。




「じゃあ決まりね。先ずは犬と梟が潜入!」





「「えぇ!」」





「主の加護があらんことを!…。」





「「主の加護があらんことを…。」」
ブツブツと小さな声で反論していたが決まりごとを言われると黙るしかない。



さっと消える白い番犬達…。





「さてどう攻めたものか…。」
入り口はわかった。中は未知の闇。





「だが、叩き潰す!」





白いフードから漏れた声は闇に溶けていく。




闇と光は常にあり、歴史の中に刻まれる。





聖戦。





そして…。どちらにも属さない。グレーの存在。狭間の存在。





それは常に叩き潰される。交わりを嫌い。変化を常に異端と見なす。





急激な変化に耐えられずに弾き出す。





古の聖戦。失われたグレーの存在。





何者も受け入れた聖女。





目覚めの時を待ちわびて…。





再び別れの定めか、それとも…。





運命の薔薇は黒い十字が知っている。





背負うは呪われし血と王冠。回すは青い薔薇。





白十字と黒十字に刻まれる。