城下町は宝石商が立ち並び、普通にバンパイアが暮らしていた…。





奇妙なのは人間が混じっていること。



もちろん、食用とレッテルされバンパイアの個人所有物とされていた。





南瓜街…。人間の住処。




「そこの旦那!こちらの宝石はいかがですか?」




「いや。例の物を取りに来たと伝えろ…。」





若い人間…。まだ二十歳にもならない少年は奥に呼びに行く。





「お師匠!旦那様!お客人ですよ。」





床から影が揺れ、風が巻き上がり二つにクルクルと長い髪のバンパイアが現れた。





「久しぶりだね。ノア…。」





「ジルエット…。預けた物を取りに来た。」





「あれをかい?まさかと思うけど…。」





翠の瞳が見開かれた。




「小僧…。天窓二階の左から四番目棚のガラスの奥の引き出しから箱を持って来な。」





「わかりました。」




「開けるんじゃないよ。死にたくなければ。」





「めっ滅相もない!」




梯子を上り天窓から数え。特殊なケースに呪文を唱える。





カチリ…。





ゆっくり引き出しから箱を取り出す。





「旦那様…。」




箱を受け取り撫でると魔方陣が流れるように箱に巻き付いていた…。





「私も見納めかと思う…。どうか今一度見せてはもらえないだろうか?」




「いいだろう、今まで預けた例だ…。」





ノアは手をかざし、呪いの魔方陣が溶けていく。




箱を開けると中には…。




「蒼の火…。」





大きな蒼い宝石の首飾り。





「見たものは死ぬと噂されるが美しい。」





ノアが笑いだした。





「それは呪いのことだ。私の物に触れれば死ぬからな。」





少年は見てしまい青ざめ腰が抜けた。





ノアは足早に去っていく。





「坊主!何やってんだ。」





「だって旦那様!俺恐い!」





「じゃあ一発な…。」






首筋に噛みつく。




所有物は痙攣すると立ち上がる。





「旦那様…。」





「はい!おやつは終了!早く仕事やりな!」





慌てて少年は宝石に研きをかける。



クスクス笑う。





「うーん…。彼女が戻って来たのか?それとも…。」





クルクル回りながら店を見回していた。