「ふん…。」






氷が炎を包み込む。





「では謁見は終了だ。ネージュ。」





そういうと体はいつの間にかノアの横に。





ノアはスタスタと去る。
終わったのかと。足早に…。





「ローズマリー…。」





冷たい声が響いた。





思わず振り返りあの瞳を見た。





その後の記憶はない。






*******





真っ黒に白。





下から何かが追ってくる。





逃げろと本能が警告を鳴らす。
このセピアの世界に逃げ場なんてあるのかわからない。





とにかく走って走る。





「ノア!」





思わず叫んでいる。





耳元が暑くなる。





「痛い…。」





耳元から流れてる生ぬるい…。





唇を離したノアは紅い。




ピアスが血を水渡っていく…。





「私どうしたの?」





「魔力に影響されただけだ…。」





強力な魔力、封じる力…。




相反する魔力。開放する魔力、即ち呪われし王…。
闇を開放する魔力。






「お前は寝てろ…。」





寝てろと言われても…。ノアの腕の中に包まれて…。顔も体も緊張している。





「しょうがないなローズ…。」





額に口づけ…。





あぁ…。また何か。でも気持ちがいい。
声も出せないくらい…。おやすみなさい…。ノア。




微笑む彼を見た気がした。






******





暗がりに座る王の後ろに立ち言った。





「ネージュ様…。」





「言うな。」





あれは。あいつだ。彼女が帰って来た。





「もう壊れないように…。」





ニヤリッと笑う。青い瞳。





ノア彼女は渡さない。この玉座も。






呪われし血が!





パン!パン!パン!





ガラスが次々割れていく。





「私を見くびるなよ…。ノア。」






この方は…。恐ろしくそして…。
冷たくも美しい王…。
私は…この方のみに仕える執事。
だから…。





執事は覚悟を決めた。





「私は貴方だけに仕える。」




小さな声は届かなかった。