私は…まだ知らなかった。
吸血鬼の王族の力を。
冷酷非常と言われ、化物の中の化物なのだと。





血の戦争は濃いほど濃い争いだと。
血の魔力は絶対的な力であると…。





「マリー様、こちらが謁見の間になります。我が主が居られます。一言忠告を…。余り主の瞳を見ないこと。ノア様から離れないことを…。」





「はい。」





憂いを帯びた顔をした。





「あのグラスさん…。もしかして、いや勘違いかもしれないし。気を悪くしたらごめんなさい…。グラスさんはもしかして女性?あの…。皆ここの人綺麗だから…。」





「そうですよ。男装をしてますからおかしいかもしれないですね。そちらの世界では…。」





「ネージュさんが王様なの?」





「我が国では今はネージュ様になります。ノア様が不在だったので…。」




「じゃあ前はノアが…。」





「左様でございます。」




手を引かれて歩くもつまづく。
「私大丈夫かな?」





「やはり貴女は…。」






首筋から紋章が見えた。




「ジョーカー…。貴女は。いえ…。」





「?」





扉が勝手に開いた。
豪華な天井まである扉…。




綺麗な広間に絨毯が引かれ、豪華な一際大きな椅子がひとつ…。





グラスが手を引き歩くも広く長い。





見かねたのか王様は手をこちらに向けた。





「!」
声をあげる前に磁石の様に椅子の前にいる…。なんて…深い青い瞳。





「ようこそ客人…。」





歓迎とは裏腹に殺気のようなものが…。
ノアが何処からか現れた。




「私の餌だ。よろしく頼む。」





負けず劣らず殺気を出して殺すと言ってる瞳。





「近くへ。名は?」





また勝手に体が動く。





顔がくっつきそう!





「マリー…。ローズマリー。」





天外やタぺストリーが燃え上がる。





嫌でも熱風を感じた。