森ノ宮に住む魔物…。
森ノ宮の主は誰も知らない。
その正体はバンパイア。





「不貞の輩メ…。」
妖しく光る黄色の瞳。





石像をコレクションする女王は…。
獅子の頭をしていた。






「下世話な輩メ…。我の庭を荒らすか!」






バンパイア同士の争いは止まることを知らない。




闇の生き物。魔物…。
その頂点の存在バンパイア。





魔女は一人で川を渡り。森ノ宮に入り込もうとしていた。
「ノア…。」





結界を作り出す彼女を見ていたものがいた。






「こんなところで何をし…。」





「!」
魔女は咄嗟に振り返る。





「グラス!」





結界が解かれた。
「ジョーカー…。私の身にもなって下さい。ノア様になんとお伝えすれば…。」





「ごめんなさい。ノアが…。」





「戻りますよ…。」






手を掴んだ途端に地面に伏せる。




息を殺して
「ジョーカー結界を…。」





ゆっくりと頷き結界を張る。





魔物…が大量に死んでいた。





茂みから見えたのは二匹の魔物…。





黄金の毛並を持っている獣。





真っ黒な毛並を持っている獣。





黄色の瞳と紅い瞳が睨み付けるように対峙していた。





「あれは…。夢の獣。」





「ジョーカー静かに…。」






美しくも恐ろしい漆黒の毛並みに釘付けだった。
そして…。
血のような紅い瞳。






「ノア?…。」






一瞬紅い瞳が此方を見つめた気がした。





その一瞬…。黄色の瞳が妖しく光り唸りながら紅い瞳の獣に襲いかかる。




お互いに絡み合い、噛み付きながら血を流す。
地面は抉られ砂ぼこりが上がる。





木々が倒される。





砂ぼこりが晴れた時、ボタボタと落ちる赤い滴が見えた。





黄色の瞳が片方潰れ、喉に漆黒の獣が食いついていた。





そのまま投げ出された獣は元の姿に戻る。





よろめきながらも黒々とした獣に叫ぶ。
「去れ!我が宮に入ることは許さぬ!」





黄色の瞳に金髪のバンパイア。





「魂…。くれ…。」
獣の牙からもれる声は低い。





「私の他に呪われた存在がいたか…。貴様は…。」





言葉は紡がれることはなかった。