「わざとここに連れてきたでしょう…。」
「そうだ。城で好き勝手されるのは許せない。シャルドネごときに力を使うのも…。」
二角獣に乗りながら何処かを見ていた。
「ネージュ?」
城は眼が多すぎる。
走りながら華の温もりを感じていた。
欲しい。
だがそれは叶わぬ夢…。
王家の血を継ぐものの定め。
空に浮かぶ光は増えていく。いずれは消え行く。
何かの糧になる。
それは宿命。
人には感じられないものを感じて一人囁いた。
「確かに部下は優秀らしい。」
二角獣が森を駆け抜ける。
霧の中でも見える。石像が一体増えていた。
霧に紛れて森を抜ける。
魔物は霧に紛れて見えないらしい。
石像が一体割れる音が響きわたる。
氷の双剣が降りあげられ魔物の叫び声が何体か聞こえた。
次いでに掃除をしに来たはずが散歩で終わった。
闇の世界の生き物を統率するバンパイア。
不穏なものは排除する。
心は氷のように固く閉ざす。
昔仲の良い魔物は今や敵。何処で何に繋がっているかわからない。
それでも玉座は目の前に…。
母の為。この白い宝石と共に…。
氷の貴公子は冷気を放ち。川を凍らせ美しい蝶を無数に飛ばす。
キラキラと輝く光の帯は。二角獣の後に続く。
川にいた。小さな影は凍り割れていく。
領域を越えるなら容赦なく。
後ろにしがみつく一輪の薔薇はそれを切なく見つめる。
まるで弔いのように死者を導く蝶達がキラキラと煌めいては雪の粉を振り撒いていく。
月のない闇の世界は…。
雪明かりのように白い大地が仄かに明るく。その上を二角獣が走り去る。
月は見えなかった。
ただ静寂に心の音が聞こえた。
氷の華が一枚一枚ゆっくりと開くように。
最後の一枚が散ってしまったら…。
捧げなくてはならない。
その瞬間。
溶けて消える…。
それは私には…。僕には出来ない。母のようには…。
「ローズ…。」
微笑んだ儚い虫けらは「綺麗…。」
ただそれだけを言う。
私は…。僕は…。
いつも欲しいものが手に入らない…。
「そうだ。城で好き勝手されるのは許せない。シャルドネごときに力を使うのも…。」
二角獣に乗りながら何処かを見ていた。
「ネージュ?」
城は眼が多すぎる。
走りながら華の温もりを感じていた。
欲しい。
だがそれは叶わぬ夢…。
王家の血を継ぐものの定め。
空に浮かぶ光は増えていく。いずれは消え行く。
何かの糧になる。
それは宿命。
人には感じられないものを感じて一人囁いた。
「確かに部下は優秀らしい。」
二角獣が森を駆け抜ける。
霧の中でも見える。石像が一体増えていた。
霧に紛れて森を抜ける。
魔物は霧に紛れて見えないらしい。
石像が一体割れる音が響きわたる。
氷の双剣が降りあげられ魔物の叫び声が何体か聞こえた。
次いでに掃除をしに来たはずが散歩で終わった。
闇の世界の生き物を統率するバンパイア。
不穏なものは排除する。
心は氷のように固く閉ざす。
昔仲の良い魔物は今や敵。何処で何に繋がっているかわからない。
それでも玉座は目の前に…。
母の為。この白い宝石と共に…。
氷の貴公子は冷気を放ち。川を凍らせ美しい蝶を無数に飛ばす。
キラキラと輝く光の帯は。二角獣の後に続く。
川にいた。小さな影は凍り割れていく。
領域を越えるなら容赦なく。
後ろにしがみつく一輪の薔薇はそれを切なく見つめる。
まるで弔いのように死者を導く蝶達がキラキラと煌めいては雪の粉を振り撒いていく。
月のない闇の世界は…。
雪明かりのように白い大地が仄かに明るく。その上を二角獣が走り去る。
月は見えなかった。
ただ静寂に心の音が聞こえた。
氷の華が一枚一枚ゆっくりと開くように。
最後の一枚が散ってしまったら…。
捧げなくてはならない。
その瞬間。
溶けて消える…。
それは私には…。僕には出来ない。母のようには…。
「ローズ…。」
微笑んだ儚い虫けらは「綺麗…。」
ただそれだけを言う。
私は…。僕は…。
いつも欲しいものが手に入らない…。



