「新しい仕事は見付かりましたか」

「いえ、まだです」

「弁当屋の店長が、貴方をとても心配していましたよ」

「そうなのですか」

 少し後悔の色が見えたので、私は諭すように言った。

「奥の部屋にいったところで、貴方がこの街から消える訳ではないのですよ。むしろ店長のように、こうして貴方の事を本当に気に留めてくれる人を、大切にしなければいけないのではありませんか」