「拓斗さん、拓斗さん」
出ていった拓斗さんの名前を呼び続けても、意味がないと分かっていても何度も私は拓斗さんの名前を呟き続けた。
どうしてですか?
頭の中の拓斗さんにそう聞く。
お仕事で疲れていた拓斗さんにあんな我が儘言ってごめんなさい。
頭の中の拓斗さんに謝る。
「うぅ…」
悲しいよ。
部屋いっぱいに拓斗さんの匂いが充満してる事が余計に悲しく思う。
それに昨日のこの時間は拓斗さんに数えれないくらいキスしてもらった。
そしてそのあとは拓斗さんに身体全身でいっぱいいっぱい愛してもらった。
「……っ」
力なくずるずるとしゃがみこんだ私の泣き声だけが部屋に響き続けた。