「言えないならコレは必要ないな?」

「あっ」





私の手元にあった求人情報誌が宙に浮く。


勿論、勝手に浮いたのではなく拓斗さんが私から求人情報誌を奪ったからで。





「返して下さい」

「没収しておく。必要がない物はいらないだろ?」

「必要に決まってます!」





ムスッと拓斗さんを見上げれば拓斗さんは何も言わずリビングから出ていった。


いいもん。


拓斗さんに奪われたって。





「もう1冊あるんだから…」





まだ見てない求人情報誌1冊が鞄の中にある。


種類別で2冊貰ってきて正解だった。


今すぐに拓斗さんは戻ってこないはずだよね?と閉まった扉を見ながらよいしょとソファーから立ち上がる。