これを言えば優子はどんな顔をするだろうか。
本当は見たいが仕方ないな。
『何かあったんですか?』
「好きだ」
『――っ』
本来なら小っ恥ずかしいと思い好きだという言葉は言いたくない。
けど、今は違う。
自分が想う気持ちを隠さず伝え、それに対し驚く優子の反応を知りたいと思う。
そして優子が離れていかないように。
「今日は定時に帰る」
優子の返事を聞かず携帯を切り親父が一口齧ったハンバーグを食べ、誰も居ない事を確認し顔を綻ばせる。
この飯田の社長でいる以上はこんな緩緩な顔を見られたくはない。
‘今夜、優子を抱く’
そう心で誓ってたとしても顔に出さないようにして。