あぁ、そうだ。


浮かんだ事を実践すべく口を動かす。





「松村の件ですが」

「松村?」





ピクリと親父の眉が上がる。


松村とは主に飲料を扱う会社でうちとタッグを組む事がしばしば。


その度に親父は呟くのは松村の社長とは気が合わんなと。


当の松村側は親父とは正反対でプライベートでの付き合いを望む程で。


確かに我が強いとは思うが、いい付き合い取引先と思えば親父のような拒絶するまでにはならない。





「午後からある会合に親父も是非どうぞ」





随分気に入られてるようですし?と反吐が出る思いで笑顔を作れば…





「帰る」





親父は焦ったように立ち上がり疑いもせず社長室から出ていった。