「美味しかったですね」

「そうだね」





ワンコインランチは想像以上の味で、その美味しさに舌鼓しつつも仕事があるからと食堂を後にした。





「此処でいいかな?」

「はい」





またね、と優子ちゃんと真逆の方向を歩き飯田コーポレーションへと向かい一歩踏み出す。


そんな俺の耳に。





「卓土さん!今日は本当にありがとうございました」





そんな声が後ろから聞こえ、振り向こうかと悩みながらも結局俺は振り向かずヒラヒラと手を振った。


優子ちゃん。


俺こそありがとう。





「ふぅ」





ふと空を見上げれば、雲一つない空でこの憂鬱を吹き飛ばしてくれる様な気がした――…