「今日のお弁当です」

「……」

「あの、拓斗さん?」





靴を履いた拓斗さんは振り向き何も言わず私を見下ろしているから、お弁当を渡したくても拓斗さんはなかなか受け取ってはくれない。





「拓斗さん!」





少し大きな声で呼んでみればハッとしたように数回瞬きを繰り返して。





「あぁ」

「もしかして…。身体の調子悪いんですか?」

「いや」





やっとお弁当箱を受け取ってくれたけど、心ここに在らず。


そんな言葉が今の拓斗さんにぴったり。





「何時に会うんだ?」

「えっ」

「本当に今日会うんだろ?」





卓土さんとって事か。





「お昼頃に会いますよ」