「ごめんなさい」
「謝る事ないよ。トイレならこっちにあるから案内する」
そう笑顔で言った卓土さんは私の手を優しく包み込む様に握った。
思わずドキッと胸が高鳴る。
だって、男の人とこうやって手を繋ぐなんて事をした思い出がないから。
運動会や遊びとかでならあるけど、今日みたいに会ってご飯食べて街中をぶらぶらしてから繋ぐなんて事はなかった。
「新しいから綺麗だよ。やっぱり、女の子は気にするでしょ?」
これは卓土さんには何気ない出来事で、案内する為に握っただけかもしれない。
けど、私は普通ではなく特別に感じる。
こうしてるとデートみたいだなって。
それでも打って変わり心做しか浮かれてしまってる私がいた――…