「あの時は
酷かった。
売られた買って
自分から
売ることもあった。
だけどさー
そんな事続けるうちに
俺、気付いたんだよな。
俺って可哀想。惨め。って。
それから
俺は自分に
可哀想な俺。とか自分で思って
そのまま自分の殻に籠った。
だから星羅の言う通りだ。
いつまで経っても
自分の殻に籠って
仲間にまで
普通に出来ない。
だから
あんな他人行儀な
話し方しちまう。」

「だけど
仲間だって思ってんでしょう?」

「当たり前だろ。
俺の事を…
俺の存在を認めてくれた
初めての奴等だ。
仲間に決まってんだろ。
奴等は
俺に取って大事な仲間だ。」

「だったら
それでいいじゃん。
椎達はちゃんと
和馬を見てる。
和馬を仲間だと思ってる。
思ってくれてるんだよ?
だから
もお自分の殻から
出て来なよ。
有りのままの
和馬を見せたら?」

有りのままの
俺か…

そうだよな。

いつまでも
このままじゃ
ダメだよな。

「話し方はまだ無理。
あっちの方が
あいつらの前だと
落ち着く。
だけど
少しずつ頑張って見るかな。」

「うん。」

「ありがとな。
星羅。」

それにしても

「何で俺が同じ
境遇だって気付いたんだ?」

「和馬の名字聞いて
何かピーンって
来たんだよね。」

でもそれだけで
分かるか?

だけど
俺は聞かない。

だって
星羅が
泣きそうな顔を
してるから。

聞けなかったんだ。