それから
あたし達は
お互いの存在を
確かめる様に
ずっと
抱き合っていた。

だけど

「もういいだろ。」

何て言う
椎の声で
感動の再開を
邪魔された。

「邪魔するなよ。」

本当だよ。

空也の言う通りっ

邪魔すんなっ
馬鹿椎っ

「あ"?
誰が馬鹿だと?」

そんなの
お前しかいねーだろ。

馬鹿椎。

「上等じゃねーか。」

って、何か
会話してないっ!?

あたし
声に出してないのに
椎と会話してないっ!?

これって
もしかして…

心と心で
会話「してねーよ。」

ほらっ
してるよっ
してるよっ

「してねー。
てめえ
さっきから
声に出してんだよ。」

うっそーんっ

「ほらな。」

うん。聞こえない。

あたしは
何にも聞こえない。

何にも
聞こえてないから。

「はー。
もういいわ。
おい。行くぞ。」

やったねっ

あたしの勝利っ

まっ
何の勝負も
してないんだけどね。

ははは。