竜騎は辺りを見回すと、ちょうど通りすがりの霊を捕まえて命令をした。
「オイ、そこの老人! 余の願いを聞け! このドーム内に礼子と言う余の下部がいる。呼んでまいれ!」
目上に言葉遣いがなっていない……
どこで教育を間違えたかと言う程である。
「ゲッゲッゲ……分かりましたよ……そのお願い叶えましょう」
全くもってワガママに育ってしまったと、火鳥も軽く息を吐いた。
「厳しくさせ過ぎたかなぁ……亀咲ちゃんにはもう少し優しくしろと言っとこう……」
「何の話だ火鳥よ! 全くお前らと来たら世を馬鹿にして! 余は青龍。お前ら四獣霊のリーダーだぞ!」
はいはいと言いながら火鳥は腰を下ろし、上を見上げる。
森の枝から微かに見える輪廻満月の月が、異様に輝いているのを火鳥は眺めて居た。
「……あの月が出る時は、四獣霊に嫌な事が起こると言った割に好きそうに見上げるな? 火鳥」
「フフ……月は綺麗だからね。俺は比較的好きだけど、良くないのは本当だよ。あの竜騎を失った日だって……」
そう、輪廻満月の日である。
テロ事件の事を懐かしく、そして悲しく思い返す。
右手を広げては握り締めてみた。
この手で仲間の竜騎を消してしまった事を、火鳥は未だにどう思っているのだろうか?
「竜騎竜騎ってうるさいな! 竜騎はここに! 余が居るだろう! いつまでも過去にとらわれるでない! 余はお前を守る! だから余計な心配をするな!」
「竜騎……」
今の竜騎に言われた、過去の竜騎の事……
その言葉が火鳥にとって何より心に染みた。
「……ありがとう」
いなくなった竜騎も今の竜騎の声と合わせて言ってくれたようで、火鳥は感謝の言葉しか出てこなかった



