ザ・レイム(霊務5)


竜騎は辺りを見回すと、ちょうど通りすがりの霊を捕まえて命令をした。









「オイ、そこの老人! 余の願いを聞け! このドーム内に礼子と言う余の下部がいる。呼んでまいれ!」










目上に言葉遣いがなっていない……

どこで教育を間違えたかと言う程である。










「ゲッゲッゲ……分かりましたよ……そのお願い叶えましょう」










全くもってワガママに育ってしまったと、火鳥も軽く息を吐いた。










「厳しくさせ過ぎたかなぁ……亀咲ちゃんにはもう少し優しくしろと言っとこう……」









「何の話だ火鳥よ! 全くお前らと来たら世を馬鹿にして! 余は青龍。お前ら四獣霊のリーダーだぞ!」









はいはいと言いながら火鳥は腰を下ろし、上を見上げる。










森の枝から微かに見える輪廻満月の月が、異様に輝いているのを火鳥は眺めて居た。










「……あの月が出る時は、四獣霊に嫌な事が起こると言った割に好きそうに見上げるな? 火鳥」









「フフ……月は綺麗だからね。俺は比較的好きだけど、良くないのは本当だよ。あの竜騎を失った日だって……」








そう、輪廻満月の日である。


テロ事件の事を懐かしく、そして悲しく思い返す。









右手を広げては握り締めてみた。

この手で仲間の竜騎を消してしまった事を、火鳥は未だにどう思っているのだろうか?











「竜騎竜騎ってうるさいな! 竜騎はここに! 余が居るだろう! いつまでも過去にとらわれるでない! 余はお前を守る! だから余計な心配をするな!」









「竜騎……」









今の竜騎に言われた、過去の竜騎の事……


その言葉が火鳥にとって何より心に染みた。










「……ありがとう」









いなくなった竜騎も今の竜騎の声と合わせて言ってくれたようで、火鳥は感謝の言葉しか出てこなかった