オッサンもその事について、直感的なものが働いていた。
過去に何度も礼子のせいで危機に晒されていたせいか、異常に危機感が敏感になってしまっている。
これが噂の『オッサン不幸レーダー』である。
里子は空を見上げ、眉をひそめる。
眺めているのは……月である。
「輪廻満月が……来ます……」
「ほほう、輪廻満月かね。その日は体が軽くなって、私の腰痛も治るからいいもんだよハハ」
オッサンはこの重い雰囲気を少しでも和まそうと、冗談交じりで笑ってみせた。
……が、誰も笑わない。
少し気まずくて、オッサンの笑っていた声は次第に小さくなって、いつしか完全に消失した。
その様子を見た礼子が、ここぞとばかりに食いつく。
「バカだなあ~オッサンは。霊は腰痛くならないのに~。ねえ、リンネ満月って月が赤くなって、うちら死者の霊力が増す日だよね?」
くっ……
普段コイツ髪伸びたり眠ったり、霊が出来ない事をシャーシャーと行ってるクセに……
更に教えた事ないハズの輪廻満月の事までサラリと説明出来てるし、理不尽な部分は霊力が衰えても変わっていない。
「礼子君。君、この前腰痛ヒドいから温泉行ってくるとか言ってなかったかい? 君も普段からの行動が矛盾だらけだよ」
そんなヤツに諭されたくない!
と、オッサンは思うのだ



