亀咲と獅死雄。
彼らは同じ四獣霊の気を探る事が出来る為、竜騎の居場所も直ぐに特定出来る。
やって来たのは、路地に入る一歩手前の所である。
「……あそこの道に入って行ったとこに居るね……」
「待て。亀咲よ。何者かが来る」
獅死雄は何かを察知し、止められた亀咲はそのまま遠方を凝視した。
ザッザッザ……
地面に一定テンポの足の音を響かせ、二人の前に姿を現した。
男。
それも様子がおかしい。
手を伸ばし、恐怖の色に染まった顔は、その手で何か攻撃を仕掛けると言うより、助けを求めている方に見えた。
「う……うぎやぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
突然の叫び声と共に、男は砂のようにサラリと崩れ落ち、その姿を完全に消してしまった。
「……! 何だい! 今のは!?」
「……とにかく先を急ぐぞ」
崩れ去った者の横を過ぎ去り、暗い暗い路地へと足を運んで行った……