キョロキョロ!
周りを見渡すも、他の霊達は既に選択の間に行った後。
飛び出して叫んでいる瞬間は見ていたが、そのままみんな何も言わずに礼子だけ残して去ったので、誰も今の現場を見ていない。
これはある意味、殺人みたいなもんだ。
本人の意志関係なく、生き返らせてしまったのだから。
礼子は慌ててその場を去り、選択の間まで戻った。
ガチャリ。
ドアを開けて部屋に戻ると、それを見つけた霊が声を掛けてきた。
「兄貴、お疲れさんです。……あれ? アイツはどうしたんです? まだ中で泣いてますか?」
その質問に、礼子はうまく返した。
「あぁ、あの子? 何かバイトあるからって先に帰っちゃったよ?」
うまく返しきれてない。
だけど、納得してかしないでか、その霊はそうですかと一言言って去って行った。
ふう~~~~
あぶね。
演技で泣いていたあの霊、その時だけ本気で泣いてたもんね。
すると、また違う霊が話しかけてきた。
「兄貴? 何か汗が凄いですよ?」
珍しく冷や汗かいたから、結構目立ったのか指摘された。
「キ―!! 女の子の年齢と汗の話は禁句よ!! もう怒ったわ! お前達の息の根を止めてやる!!」
理不尽に、勢いだけで暴れる礼子。
「うわ~~~!! 兄貴が突然キレたぁ!!!!!」
「みんな逃げろ~~!!!!」
霊達は一斉に逃げてしまい、元居た廃校舎までフルマラソンして行った……