そんな去っていく集団から、1匹の霊が飛び出してきた。
例の指導者になりたがって居た霊だ。
特製殺人お菓子で足元がフラつきながらも、礼子の隣にまで行き、煙に向かって叫んだ。
「ヨネさ――ん!! 行かないでおくれよ~~!!!! 悲しいじゃないかぁ!!!! ううう!!」
泣いてるように見えるが、実はこれ演技である。
とにかく目立って、次のまとめる指導者に何とかなりたいと言う気持ちの表れからの、形だけの涙であった。
(とにかく、この女の印象に俺の姿を埋め尽くす! ククク、選択の間も入り口が分かったし、一つでも上に立つ者として有利な点が出てきた。あの雑魚共を統括するのは俺だ!!)
打算的な考えが頭に渦巻き、とにかく役者になりきった。
「うわあぁぁぁん!! うわあぁぁぁん!!!!」
(ククク、俺の時代が来るんだ!)
すると礼子は、後ろから励ましの言葉を掛けた。
「もう~~~男の子なんだからクヨクヨしないの。しっかりしなさいよ」
バン……!
礼子に背中を叩かれると、まだ足が覚束ないのか、勢い余ってそのまま前にフラフラと身を投げ出した。
「あ」
「あ」
2人は交互に言った。
何と……
その霊は、ピンクの煙の中に入ってしまったからだ……
霊は後ろを振り向き、礼子目掛けて手を伸ばす。
「あ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
そのまま座り込んだ彼は、ヨネさんのように奥へと吸い込まれてしまった……
……
あ……
ヤベ……
やっちまった……