「……」
この輝く煙を前に、ヨネさんは数秒だけ硬直した。
綺麗過ぎるこの煙に、どこか怖いと言う不安があるようだが、意を決して歩み出す。
「フフ、いざ来てみると怖いもんだねぇ」
生き返るには記憶を失い、赤ちゃんからのスタート。
その課程は誰にも分からない。
痛いのか?
苦しいのか?
何が起きるのか?
そんな事を考えながら煙の中に入って行くと、後ろから礼子の励ましの声が聞こえた。
「キツネ婆ちゃん。なーにアタシだってそこ通った事あるんだよ。ワニに噛まれた人よりかは、心配しなくていいよ」
……!
その言葉を聞いて、煙の中でヨネさんは勢い良く振り返った。
「その言葉! お前さんは、しゃ………!!」
ヨネさんは手を伸ばしたまま、その煙に吸い込まれるように、奥に飲み込まれてしまった。
辺りが静かになる。
他の霊が礼子に話し掛けた。
「兄貴、何です今の話? ヨネさんとの合い言葉か何かです?」
「んーん。アタシにも分からない。とっさに何か勝手に出た」
知らないと言いながら、礼子はいつもの笑顔を見せる。
ヨネさんを見送る会は終了。
霊達は、また来たドアまで引き上げて行った



