ザ・レイム(霊務5)


「……」






この輝く煙を前に、ヨネさんは数秒だけ硬直した。








綺麗過ぎるこの煙に、どこか怖いと言う不安があるようだが、意を決して歩み出す。









「フフ、いざ来てみると怖いもんだねぇ」










生き返るには記憶を失い、赤ちゃんからのスタート。







その課程は誰にも分からない。


痛いのか?

苦しいのか?

何が起きるのか?









そんな事を考えながら煙の中に入って行くと、後ろから礼子の励ましの声が聞こえた。









「キツネ婆ちゃん。なーにアタシだってそこ通った事あるんだよ。ワニに噛まれた人よりかは、心配しなくていいよ」









……!









その言葉を聞いて、煙の中でヨネさんは勢い良く振り返った。








「その言葉! お前さんは、しゃ………!!」









ヨネさんは手を伸ばしたまま、その煙に吸い込まれるように、奥に飲み込まれてしまった。









辺りが静かになる。









他の霊が礼子に話し掛けた。










「兄貴、何です今の話? ヨネさんとの合い言葉か何かです?」










「んーん。アタシにも分からない。とっさに何か勝手に出た」









知らないと言いながら、礼子はいつもの笑顔を見せる。









ヨネさんを見送る会は終了。




霊達は、また来たドアまで引き上げて行った