一応、あんな駄犬でも売れる事は売れた。
万札を数えながら、礼子は主人公が絶対にしないような卑しい笑いを見せる。
「シッシッシッ。意外に校内にも居るもんだね~お宝モンスター。ゲットだね」
モンスターハンターじゃないんだから。
勝手に売らないように。
そう誰も注意する人が居ないもんだから、好き勝手に常識外れの事を連発させる。
ブロロロロ……
輸送車が発進すると同時に、校舎から物凄い勢いでアニマル兄が飛び出した。
「ラッシー!!!!!!!! オイ待ってくれ――――!!!」
今は勝手に売った見知らぬ女よりも、目の前でさらわれてくラッシーを追い掛けるのが優先。
それを礼子は、あたかも関係なさそうに万札で自分を扇ぐ。
「ほえ? またさっきの人だ。今日はよく人が走るなあ~~運動会かな? 走るのは疲れるだけなのによく頑張るなあ。でも疲れたら……ジャーン! このオマケでくれたマッサージエステ優待券を使えばバッチリよ」
嬉しそうに優待券を眺めて得した気分になっているが、何度も言います。礼子は死んだ身。
霊体にマッサージ何て、全く意味がないないない。
『猫に小判』
『豚に真珠』
『霊にマッサージ券』
昔からある、ことわざですね。
これは、あくまで礼子の頭の中のことわざシリーズである



