ザ・レイム(霊務5)


「お~~い、ラッシーや~」








アニマル兄は、未だに呑気にラッシーを探している。









校内には弟も居るし、もしかしたらそこに行ったのかもしれないと予想する。









ニワトリと違い犬は帰還機能があるから、少しばかり目を離しても安心。









しかし、今回ばかりは、そうはいかなかったと思い知らされる事となる。










《プップ~ッ!》










ラッシーを探しに、二階に来た辺りか?




ちょうど窓から外にかけて、見慣れない車が校内に入って来た。









それは、アニマル兄も全く知らないと言う車ではなく、どこか見覚えがある車。







よく考えたら、すぐ思い付いた。







その正体は、ペットショップが使うような、車体に可愛らしい犬の顔がペイントされた輸送車だ。









このボロ廃校に、ペットショップの車。



どう考えても、組み合わせがおかしい。









何しにここに来たかと思い、見下ろしてみると……










「はい、毎度ありがとうございや~~す!」









見えたのは、まだ若いショップ店員の男が帽子を上げて挨拶し、その目線の先には礼子が札束を振って見送っている。









そして、その車の中にある檻には、未だマヌケ面をかましているラッシーの姿。




って、ええ!!!!!!










あの女!!

何しくさってやがるんじゃ!









礼子は、姿が見える階級8の能力を使い、人間と対話して血統書付きの犬を勝手に売り飛ばしたのだ