「お~~い、ラッシーや~」
アニマル兄は、未だに呑気にラッシーを探している。
校内には弟も居るし、もしかしたらそこに行ったのかもしれないと予想する。
ニワトリと違い犬は帰還機能があるから、少しばかり目を離しても安心。
しかし、今回ばかりは、そうはいかなかったと思い知らされる事となる。
《プップ~ッ!》
ラッシーを探しに、二階に来た辺りか?
ちょうど窓から外にかけて、見慣れない車が校内に入って来た。
それは、アニマル兄も全く知らないと言う車ではなく、どこか見覚えがある車。
よく考えたら、すぐ思い付いた。
その正体は、ペットショップが使うような、車体に可愛らしい犬の顔がペイントされた輸送車だ。
このボロ廃校に、ペットショップの車。
どう考えても、組み合わせがおかしい。
何しにここに来たかと思い、見下ろしてみると……
「はい、毎度ありがとうございや~~す!」
見えたのは、まだ若いショップ店員の男が帽子を上げて挨拶し、その目線の先には礼子が札束を振って見送っている。
そして、その車の中にある檻には、未だマヌケ面をかましているラッシーの姿。
って、ええ!!!!!!
あの女!!
何しくさってやがるんじゃ!
礼子は、姿が見える階級8の能力を使い、人間と対話して血統書付きの犬を勝手に売り飛ばしたのだ



