このカビ臭い古校舎。
その空間に、どう考えても有り得ない匂いが漂ってきた。
《クンクン……》
鼻をくすぐる香ばしい良い匂い。
それを嗅ぎ、アニマル弟は自分の兄が近くに居るようにとしか思い付かなかった。
当たり前だ。
こんな古びた建物に、誰かが居るはずもない。
エドワードの行方が聞けるかもしれないので、その香りを頼りにアニマル弟は足を辿らせた。
「この部屋か……」
そっとドアを開けると、中は薄暗いものの部屋の中央で何かが光っていた。
それは……『火』である。
火を起こしている床にはただ直に板キレのみが引かれ、その上に無作為に紙や小枝で勢い良く炎を燃やし、下手したら火事を起こしそうないい加減な火の起こし方。
誰がこんなと考えていると、その上に炙られてる物体に気付く。
紛れもないエドワードである。
って……
「ホォッツ!!!?」
変な奇声を上げると、それに反応して中に居た誰かが振り返った。
当然の如く、礼子様だ



