霊達は兄貴兄貴と奉り、久々の明るい笑顔での盛り上がりを見せるが、それから少し離れて見ている霊が1匹居た。
誰もが気付いていないが、強持の形相で礼子を睨んでいる。
「……ちっ」
どうやらその様子から、この騒ぎが気にくわないらしい。
しかも、ブツブツと小声で文句を言う。
「ここのトップになるのはこの俺だ。あんなヤツに、ぜってー渡さねえ。ヨボヨボのババアが来て仕切りだしたかと思えば、次はガキの女か……認めんぞ俺は」
やはり、どこの世界にも居るものだ。
上に立ちたがる人間……いや霊と言うものは。
その口振りから、礼子だけでなく、ヨネさんまで危険視しているらしい。
「成功させねえ……綺麗な場所でコイツらの霊務の長として君臨するのは、誰か分からせてやる。見てろよ」
己の欲望のままに決意を固め、ソイツは礼子達に近付いて行った



