次の日の朝……
遅刻だ!
と慌てて起き上がってパンをくわえて登校したり、武道娘に有りがちな朝稽古で日が上がる前に起きたりしない。
6時05分……
早いには早い時間帯だが、この時間に必ずやる、五分間の子犬物語を見るために起きているのだ。
意外に可愛らしい一面を持つ雫。
寧ろ、周りが誇張しているだけで、普通の女の子と何一つ変わりはしない。
絵が上手かったり、歌が綺麗だったり、ピアノが弾けたり、裁縫が出来たり、料理が得意だったり……
いろんな女性がいる中で、たまたま武道に精通があるだけである。
女性だからと言って、珍しい事ではない。
雫の友人でも、プロレスが好きな人や、柔道部に所属している人だっている。
こんな男が軟弱な時代だからこそ、女がしっかりしなければいけない事も一つにあげられる。
「さてと……そろそろ行こうかな」
そろそろ6時30分。
母親が起きてくる頃だ。
雫は昨日見合いの事で争いがあったばかりなので、いつもの事で気まずくないものの、なるべく顔を見る前に学校に行こうという気持ちが働いた。
「行ってきま~す」
家から返事はないが、朝の清々しい風景に飛び込むように、爽快に走り出して行った



